ことばの杜について

ミッション

ことばって本当はとても美味しいものだということをご存知ですか

 誰かから、体験に基づく心のこもった話を聞いて感動したことはありませんか。そんな時に味わう満足感は、何かとても美味しいものを食べた後の満足感に、 よく似ていると思いませんか。味わい深い「ことば」は、栄養に満ちたご馳走のように、私たちの心を満たしてくれ、身体の細胞の一つ一つを、大きく元気にし てくれます。  でも今の時代、そんな「ことば」の本当の美味しさを、どれほどの人が実感しているでしょうか。

 最近、一瞬の激情にかられて、取りかえしのつかないことをしでかしたり、また「いじめ」や「いじめによる自殺」など、子どもたちの引き起こす不幸な事件 が目立ちます。その背後には、自分の気持ちを「ことば」で表現できない、他の人と「ことば」で良い関係を築くことができないなど、「ことばの力」の欠落が 指摘されています。無理もありません。家庭は核家族で昼間はお母さんと子どもだけ。子どもは「ことば」で訴えなくとも、生活に何の支障も生じません。学校 では、先生は忙しすぎて、ジックリ、一人一人の子どもの「ことば」に耳を傾ける時間はありません。誰が悪いのでもなく、今、家庭と学校だけで「子どものこ とば」を育てることはできない、社会全体が子どもを育てる責任を担わなければならない時代です。

 NHKアナウンサーは、放送開始から82年、日本の話しことばを担ってきました。これまで蓄積してきたものを社会還元する意味でも、今NHKアナには 「子どもたちのことば」を育てる責任があると考え、社会貢献し始めています。しかし現役の間は、大変忙しく、思いはあっても十分な貢献はできないのが実情 です。そこで、私たちOBがこの運動を外から支える仕組みとして「LLP ことばの杜」を設立しました。

 人は「ことば」を交わすことによって、心を通い合わせることができ、それはとても心地良い体験なのだと、子どもたちに知ってほしい。子どもたちに「こと ば」の本当の美味しさを伝えたい。「ことば」に、人の心を動かす力があることを信じる子どもを育てることが、より良い世の中を実現していくための第一歩に なると信じて・・・

有限責任事業組合 ことばの杜代表 山根基世